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2026年4月13日

株式会社ピーエスアイ

総務省とAJCCBCの官民連携演習に学ぶ、日ASEANで強化するインシデント対応力

官民連携演習が示す「連携の設計力」の重要性

サイバー攻撃の高度化に加え、地政学リスクが企業活動へ影響する場面が増えています。単体の対策だけではなく、組織を越えた連携の設計力が問われます。

総務省が関わるAJCCBCで官民連携演習が実施されたことは、訓練の実施そのもの以上に、日ASEANで現実的に動ける対応体制を整える動きとして注目されます。

ASEAN地域はデジタル化と経済成長が同時に進み、国境を越えた取引やIT基盤の依存が深まっています。一社の被害が周辺国の取引先へ波及する前提で備える必要があります。

AJCCBCの役割と、演習で鍛えるべき運用プロセス

AJCCBCはASEAN地域の能力構築を支える枠組みとして、政府機関や重要インフラ、民間事業者の人材育成と知見共有を後押しします。攻撃者が国境を意識しない一方、被害側は制度や権限に縛られがちです。

演習で差が出るのは、マルウェア解析の巧拙よりも、初動で指揮系統を立て、優先順位を合わせ、意思決定を前に進める運用力です。特に停止・遮断・隔離の判断基準は、平時の合意がないと迷いが生じます。

また官民連携で詰まりやすいのが情報共有です。IoCなどの技術情報、影響範囲や復旧見込みといった運用情報、顧客説明や当局報告の対外発信を切り分け、粒度とタイミングを事前に揃えることが重要です。

さらに国境を越える対応では、ログ提供や証拠保全、捜査協力などが各国法制度の差に左右されます。「技術的に可能」でも「制度上どこまで可能か」を演習で洗い出し、代替手段も準備することが現実的です。

企業が備えるべきリスク範囲と、実務に落とす対策

演習シナリオは、現実の脅威に即しているほど効果が高まります。近年はランサムウェアが暗号化に留まらず情報窃取を伴い、広報・法務・経営判断を同時に迫るケースが一般化しています。

加えて、サプライチェーン侵害やクラウド設定不備、ID侵害は「侵入に気づきにくい」点が特徴です。SaaSや委託先を起点に横展開される前提で、監査ログや権限設計、検知の整備が欠かせません

演習をやりっぱなしにしないためには、検知から封じ込め、復旧までの時間の変化に加え、停止判断や外部報告で何が遅延要因になったかを評価し、手順書や連絡網、契約条項の見直しへつなげることが要点です。

まとめ

ネットワークベンダーとして、PSIでは、侵害を前提にした多層防御と、組織内外の連携を前提にした設計を重視することが重要だと考えます。

具体的には、ゼロトラストの考え方でIDと権限を中心に統制しつつ、セグメンテーションで波及範囲を限定し、初動判断を止めない運用を整えることが有効です。

さらに、平時から関係者の共通言語と意思決定プロセスを揃え、訓練と見直しを継続することが、国境を越えるインシデント対応力の底上げにつながります。

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