PSI CyberSecurity Insight

トップ> Insight Post一覧> PSI CyberSecurity Insight第87号:経営層の法的責任が問われる時代、サイバーセキュリティは「ITの問題」から「経営課題」へ

2026年2月19日

株式会社ピーエスアイ

経営層の法的責任が問われる時代、サイバーセキュリティは「ITの問題」から「経営課題」へ

背景

サイバー攻撃による被害が、単なるシステム障害や情報漏えいにとどまらず、株価の暴落、事業の長期停止、ブランド毀損といった経営の根幹を揺るがす事態に発展しています。これに伴い、サイバーセキュリティ対策の不備が「経営陣の善管注意義務違反」として問われるケースが国内外で増加しています。米国では証券取引委員会(SEC)が上場企業に対し、重大なインシデントの4営業日以内開示や、取締役会のサイバーセキュリティ監視体制の年次報告を義務化しました。日本国内でも、経済産業省の「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」において、セキュリティは経営者がリーダーシップを取って取り組むべき課題であると明記されており、万が一の事態には経営責任が法的に追及されるリスクが現実化しています。特に、株主代表訴訟や取引先からの損害賠償請求において、「合理的なセキュリティ対策を怠った」ことが争点となる事例が増えています。

実態

かつては、サイバー攻撃の被害者は「運が悪かった」と同情される側面もありましたが、現在は「対策を怠った加害者」として厳しく指弾される傾向にあります。実際に、大規模な顧客情報漏えいを起こした企業の株主代表訴訟において、取締役の監視義務違反が認定され、巨額の損害賠償を命じられる判決や、和解金として経営陣が私財を提供する事例も出ています。また、サプライチェーン攻撃により取引先に損害を与えた場合、契約不適合責任や不法行為責任を問われる可能性もあります。しかし、多くの企業の経営層は依然として「セキュリティはCISO(最高情報セキュリティ責任者)やIT部門に任せている」という認識に留まっており、自身が理解すべき「リスクの定量化」や「投資判断の根拠」に十分関与していない実態があります。攻撃者はこのガバナンスの欠如を見抜き、経営判断が遅れる隙を突いて被害を拡大させます。具体的には、インシデント発生時の「身代金を支払うか否か」「システムを全停止するか否か」「メディア発表のタイミング」といった重大な意思決定において、技術的な理解不足から適切な判断ができず、被害を拡大させてしまうケースが見られます。

影響と対策

経営層がセキュリティに関与しないことの最大のリスクは、有事の際の意思決定不全です。身代金を支払うか否か、システムを全停止するか否かといった判断は、技術者ではなく経営者にしかできません。対策として、まず経営層自身がサイバーリスクを「ビジネスリスク」として認識し、経営会議の定例議題に組み込むことが不可欠です。具体的には、CISOに経営層への直接報告権限を与え、技術用語ではなくビジネスへの影響度(損失額、停止期間、顧客への影響)でリスクを報告させる体制を作ります。また、FortiGateやCheck Pointなどのセキュリティ投資を「コスト」ではなく「事業継続のための保険」と捉え、十分な予算と人員を配分します。さらに、サイバー保険の加入状況や免責事項の確認、有事を想定した経営層参加型の机上訓練(テーブルトップ演習)を実施し、意思決定のプロセスを事前にシミュレーションしておくことも重要です。法的リスクを軽減するため、業界標準やフレームワーク(NIST、ISO27001など)に準拠したセキュリティ対策の実施と、その実施状況を客観的に証明できる文書化も必要です。

まとめ

サイバーセキュリティは、もはやIT部門だけの守備範囲ではありません。企業の存続を左右する経営課題であり、その責任は最終的に経営トップにあります。「知らなかった」では済まされない時代において、経営主導のガバナンス構築が急務です。PSIでは、経営層向けのセキュリティ啓発、リスク評価、そしてビジネス目標と整合したセキュリティ戦略の策定支援を通じて、経営とITの橋渡しを行い、ガバナンスの効いた強靭な組織作りをご支援いたします。

会社概要

社名:株式会社ピーエスアイ(PSI)
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿5丁目5-3 建成新宿ビル4階
設立:1994年
TEL:03-3357-9980
FAX:03-5360-4488
URL:https://www.psi.co.jp
事業内容:サイバーセキュリティ製品の販売および導入支援、運用サポート、ITコンサルティング

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電話番号:(03)3357-9980
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