PSI CyberSecurity Insight
2026年2月12日
株式会社ピーエスアイ
経営者のディープフェイク動画で株価操作、AIが生み出す新たな金融犯罪
背景
生成AI技術の進化により、企業の経営者や著名人の顔と声を精巧に再現した「ディープフェイク動画」の作成が容易になっています。この技術を悪用し、上場企業のCEOが「業績予想の大幅下方修正」「重大な不祥事の発覚」「経営陣の辞任」などを発表する偽の動画を作成・拡散させ、株価を意図的に暴落または高騰させて不正な利益を得る「ディープフェイク株価操作」が新たな脅威として浮上しています。SNSやYouTubeを通じて瞬時に拡散される偽情報は、企業の公式否定が間に合わない数分から数十分の間に株式市場で取引され、攻撃者は空売りや買い戻しで巨額の利益を得ます。企業にとっては、株価の急変動による時価総額の毀損、投資家からの信頼失墜、風評被害という深刻な影響が発生します。
実態
ディープフェイク株価操作の典型的な手順は以下の通りです。まず、攻撃者はターゲット企業の経営者の動画素材(決算説明会、インタビュー、カンファレンス登壇など)を収集します。次に、生成AIツールを使用して経営者の顔と声を学習させ、偽の発表動画を作成します。最新のAI技術では、数分の音声・映像サンプルがあれば、リアルタイムで動きや口の動きまで再現できます。作成された動画には、企業ロゴ、記者会見場の背景、ニュース番組風のテロップなどを追加し、信憑性を高めます。そして、市場が開いている時間帯に、複数のSNSアカウントやYouTubeチャンネルから一斉に動画を拡散します。この際、「速報」「緊急」といったタグを付け、アルゴリズムによる拡散を促進します。株価が変動したタイミングで、攻撃者は事前に仕込んでいた空売りポジションを決済したり、暴落した株を買い戻したりして利益を確定します。企業が公式に否定声明を出す頃には、既に取引は完了しており、攻撃者は利益を得た後です。実際に、海外では著名企業のCEOを装った偽動画が拡散され、数分間で株価が5%以上変動した事例が報告されています。
影響と対策
ディープフェイク株価操作は、企業の時価総額に直接的な打撃を与えるだけでなく、投資家の信頼を損ない、金融市場の公正性を脅かします。対策としては、まず企業側の「迅速な公式否定」体制の構築が重要です。IR部門と広報部門が連携し、偽情報を検知した際に即座に公式SNSアカウントや適時開示システムで否定声明を発表できる体制を整えます。技術的には、FortiGateやCheck PointのWebフィルタリング機能により、社内ネットワークから不審な動画サイトへのアクセスを監視し、従業員が偽情報を拡散しないよう注意喚起することも有効です。また、経営者の公式動画には「デジタル透かし」や「ブロックチェーン認証」を付与し、真正性を証明できる仕組みの導入も検討されています。さらに、SNSプラットフォームやメディアとの連携により、偽動画の早期削除を要請できる窓口を事前に確立しておくことも重要です。投資家教育として、「SNS上の速報情報を鵜呑みにせず、必ず公式IRページで確認する」習慣の啓発も求められます。
まとめ
「見たものが真実」という時代は終わりました。動画すら信頼できない時代において、企業は「真正性の証明」と「迅速な否定」の両方の能力を持つ必要があります。ディープフェイクは技術の進化とともにさらに精巧になり、見破ることはますます困難になります。PSIでは、ネットワークセキュリティによる情報拡散の監視と、危機管理広報体制の構築支援を通じて、ディープフェイクを含む情報操作攻撃から企業の信頼と株価を守るご支援をいたします。
会社概要
社名:株式会社ピーエスアイ(PSI)
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿5丁目5-3 建成新宿ビル4階
設立:1994年
TEL:03-3357-9980
FAX:03-5360-4488
URL:https://www.psi.co.jp
事業内容:サイバーセキュリティ製品の販売および導入支援、運用サポート、ITコンサルティング
報道関係者様からのお問合せ先
株式会社ピーエスアイ
広報担当:内藤
電話番号:(03)3357-9980
Eメールアドレス:psi-press@psi.co.jp