PSI CyberSecurity Insight

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2026年1月26日

株式会社ピーエスアイ

5Gネットワークスライシングが生む新たなセキュリティ境界、仮想化ネットワークの盲点

背景

第5世代移動通信システム(5G)の本格普及に伴い、「ネットワークスライシング」という革新的な技術が企業ネットワークに導入され始めています。ネットワークスライシングとは、単一の物理ネットワークインフラ上に、用途や要件に応じた複数の仮想的なネットワーク(スライス)を構築する技術です。例えば、IoT機器用の低遅延スライス、映像伝送用の高帯域スライス、業務システム用のセキュアスライスなどを同一インフラ上で並行稼働させることができます。この技術は柔軟性とコスト効率をもたらす一方で、スライス間の論理的分離が不完全な場合、あるスライスへの攻撃が他のスライスに波及するリスクや、スライス管理機能自体が攻撃対象となる新たなセキュリティ課題を生み出しています。特に、製造業のスマートファクトリーや自動運転車両など、5Gに依存する重要システムでは、セキュリティ侵害が物理的な被害や人命に直結する可能性があります。

実態

5Gネットワークスライシングにおける主なセキュリティリスクは以下の通りです。第一に、「スライス間の分離不全」です。理論上は完全に独立しているはずの各スライスですが、実装上の不備や設定ミスにより、あるスライスから他のスライスへの不正アクセスや情報漏えいが発生する可能性があります。第二に、「スライス管理機能への攻撃」です。ネットワークスライスの生成・変更・削除を行う管理プレーン(オーケストレーター)が侵害されると、攻撃者は任意のスライスを作成して不正通信の経路を確保したり、正規のスライスを停止させてサービス妨害を引き起こしたりできます。第三に、「リソース枯渇攻撃」です。悪意あるスライスが物理リソース(帯域、処理能力、メモリ)を過剰に消費することで、他のスライスのサービス品質が低下したり、完全に停止したりするリスクがあります。第四に、「サプライチェーンリスク」です。5Gネットワーク機器やソフトウェアは複数のベンダーから提供されるため、サプライチェーンのどこかに脆弱性やバックドアが混入している可能性があります。実際に、研究レベルでは、スライス間の情報漏えいやサイドチャネル攻撃の可能性が指摘されています。

影響と対策

5Gネットワークスライシングのセキュリティ侵害は、業務システムの停止、IoT機器の乗っ取り、機密通信の傍受、さらには製造ラインや自動運転システムの誤動作など、広範囲かつ深刻な影響をもたらす可能性があります。対策としては、まず「ゼロトラストアーキテクチャ」の考え方を5G環境にも適用し、スライス内・スライス間の全ての通信を継続的に検証・監視する体制が必要です。FortiGateやCheck Pointなどの次世代ファイアウォールを5Gコアネットワークのセキュリティゲートウェイとして配置し、スライス間トラフィックの検査、異常通信の検知、マイクロセグメンテーションによる被害範囲の限定を実施します。また、スライス管理機能へのアクセスには厳格な認証・認可を適用し、多要素認証、ロールベースアクセス制御(RBAC)、監査ログの詳細記録を徹底します。さらに、各スライスに対してリソース使用量の上限(QoS設定)を明確に定義し、特定のスライスがリソースを独占できないようにします。サプライチェーンリスクに対しては、5G機器ベンダーのセキュリティ認証状況を確認し、信頼できるベンダーからの調達を優先します。定期的なセキュリティ診断とペネトレーションテストにより、スライス分離の実効性を検証することも重要です。

まとめ

5Gネットワークスライシングは、企業ネットワークの未来を形作る重要技術ですが、仮想化による柔軟性は同時に新たな攻撃面も生み出します。物理的な境界が消失した環境では、論理的な分離とゼロトラストな検証が不可欠です。先進技術の恩恵を安全に享受するためには、導入初期段階からのセキュリティ設計が重要です。PSIでは、5G環境に対応したネットワークセキュリティソリューションの設計・導入、スライス間セキュリティの検証、そして継続的な監視体制の構築を通じて、お客様の5G活用を安全に支えるご支援をいたします。

会社概要

社名:株式会社ピーエスアイ(PSI)
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿5丁目5-3 建成新宿ビル4階
設立:1994年
TEL:03-3357-9980
FAX:03-5360-4488
URL:https://www.psi.co.jp
事業内容:サイバーセキュリティ製品の販売および導入支援、運用サポート、ITコンサルティング

報道関係者様からのお問合せ先

株式会社ピーエスアイ
広報担当:内藤
電話番号:(03)3357-9980
Eメールアドレス:psi-press@psi.co.jp