PSI CyberSecurity Insight
2026年1月6日
株式会社ピーエスアイ
VPN機器の脆弱性がランサムウェアの侵入口に、パッチ未適用の「放置」が招く致命的リスク
背景
テレワークの定着により、企業のネットワーク境界を守るVPN(Virtual Private Network)機器の重要性が増していますが、同時に攻撃者にとっての「格好の侵入口」となっています。特に、Fortinet、Pulse Secure(現Ivanti)、Citrixなどの主要なVPN製品において、深刻な脆弱性が発見されてから数日以内に悪用コード(Exploit)が出回り、未修正の機器が一斉に攻撃を受ける事例が後を絶ちません。VPN機器は外部から直接アクセス可能な状態で設置されることが多く、一度突破されると内部ネットワークへの「正門」を通過されたことと同義となり、ランサムウェア感染や機密情報窃取といった深刻な被害に直結します。米国CISAの統計では、ランサムウェア攻撃の約70%がVPN機器の脆弱性を初期侵入経路としており、企業の境界防御における最重要課題となっています。
実態
攻撃者は、「Shodan」などのIoT検索エンジンを使用して、インターネット上に公開されている脆弱なVPN機器を網羅的にスキャンしています。脆弱性が公表されると、攻撃者は即座にその脆弱性を突くスキャンを開始し、パッチ未適用の機器を特定します。特定された機器に対しては、認証回避の脆弱性を悪用して正規の認証プロセスをスキップしたり、管理者権限を持つアカウント情報を窃取したりして侵入を試みます。侵入に成功すると、攻撃者はVPN機器を踏み台にして内部ネットワークへ横展開(ラテラルムーブメント)し、Active Directoryサーバーの掌握や機密データの探索を行います。さらに、初期侵入に成功したアクセス権を「初期アクセスブローカー(IAB:Initial Access Broker)」として他の犯罪組織に販売するケースも多く、最初の侵入から実際のランサムウェア展開まで数週間から数ヶ月の潜伏期間が生じることもあります。また、過去に盗まれたVPNアカウント情報がダークウェブで取引され、脆弱性とは無関係に正規アカウントとして悪用される「クレデンシャルスタッフィング」攻撃も頻発しています。攻撃者は、脆弱性公表から悪用開始までのタイムラグを「ゼロデイウィンドウ」として最大限活用しており、パッチ適用の遅れが致命的な結果を招いています。
影響と対策
VPN機器経由の侵入は、境界防御を無効化されるため、被害が全社規模に拡大するリスクが極めて高いのが特徴です。対策の最優先事項は、ベンダーから提供されるセキュリティパッチを「即座に」適用することです。脆弱性情報の公開から悪用開始までのリードタイムは年々短縮しており、数日から数週間の放置が命取りとなります。FortiGateやCheck Point製品では、IPS(侵入防止システム)機能を有効化し、既知の脆弱性を狙う通信をゲートウェイレベルで遮断する「仮想パッチング」運用が非常に有効です。この機能により、物理的なパッチ適用前でも攻撃を防御できるため、メンテナンス時間の確保が困難な重要システムでも安全性を維持できます。また、VPN接続には必ず多要素認証(MFA)を適用し、ID・パスワードのみでの認証を廃止することが必須です。さらに、VPN機器のログを定期的に監視し、深夜・早朝の不審な接続や、海外IPアドレスからのアクセス試行を検知する体制も重要です。ゼロトラストの観点からは、VPN接続後のアクセス権限を最小限に絞り、ネットワークセグメンテーションによって被害範囲を局所化する設計も推奨されます。定期的な脆弱性診断とペネトレーションテストにより、設定ミスや見落としがないかを継続的に検証することも欠かせません。
まとめ
VPN機器は「設置して終わり」ではなく、サーバーと同様に継続的なメンテナンスが必要な重要資産です。脆弱性情報の早期把握と迅速なパッチ適用、そして多要素認証による認証強化が、現代の境界防御には不可欠です。特に仮想パッチング技術は、パッチ適用のタイムラグを埋める重要な防御手段となります。PSIでは、FortiGateやCheck Point製品の最新脆弱性情報の提供から、IPSシグネチャによる即時防御、セキュアなVPN設計支援まで、お客様の境界セキュリティを維持するための包括的なサポートを提供いたします。
参照記事リンク:
JPCERT/CC 注意喚起, CISA Known Exploited Vulnerabilities Catalog, FortiGuard Labs PSIRT Advisories会社概要
社名:株式会社ピーエスアイ(PSI)
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿5丁目5-3 建成新宿ビル4階
設立:1994年
TEL:03-3357-9980
FAX:03-5360-4488
URL:https://www.psi.co.jp
事業内容:サイバーセキュリティ製品の販売および導入支援、運用サポート、ITコンサルティング
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広報担当:内藤
電話番号:(03)3357-9980
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