PSI CyberSecurity Insight

トップ> Insight Post一覧> PSI CyberSecurity Insight 第17号:クラウド環境の設定ミスが情報漏えいの主因に、人的ミスを防ぐ自動化と可視化が急務

2025年12月24日

株式会社ピーエスアイ

クラウド環境の設定ミスが情報漏えいの主因に、人的ミスを防ぐ自動化と可視化が急務

背景

クラウドサービスの利用拡大に伴い、設定ミスや誤操作による情報漏えい事故が国内外で相次いでいます。高度なサイバー攻撃ではなく、Amazon S3バケットの公開設定ミス、データベースの認証なしアクセス許可、過剰な権限付与など、基本的な設定の誤りが原因で、数百万件規模の個人情報や機密データが外部に露出する事例が継続的に報告されています。クラウドサービスは「デフォルトで安全」ではなく、利用者側が適切に設定する「責任共有モデル」が前提となっているため、設定の複雑さや運用担当者のスキル不足が重大なリスク要因となっています。

実態

クラウド環境における設定ミスの代表例としては、Amazon S3バケットやAzure Blob Storageのアクセス制御設定を誤り、「誰でもアクセス可能」な状態で顧客データや社内文書を保存してしまうケースがあります。攻撃者は自動化ツールを使って公開状態のストレージを常時スキャンしており、設定ミス発生から数時間以内にデータが発見・窃取されることも珍しくありません。また、データベース(RDS、Cloud SQL等)をインターネットに直接公開し、デフォルトの管理者パスワードのまま運用していたため、不正アクセスを受けた事例も報告されています。IAM(Identity and Access Management)の設定では、開発者やサービスアカウントに「管理者権限」を安易に付与してしまい、一つのアカウント侵害が全リソースへの不正アクセスにつながるケースが後を絶ちません。さらに、セキュリティグループやファイアウォールルールで「0.0.0.0/0(全てのIPアドレス)」からのアクセスを許可してしまう設定ミス、暗号化設定の未適用、ログ記録の無効化なども、実際の事故原因として頻繁に指摘されています。テスト環境や開発環境では特に設定が甘くなりがちで、そこから本番環境への侵入経路が作られることもあります。

影響と対策

設定ミスによる情報漏えいは、顧客からの信頼喪失、法的責任の発生、株価への悪影響など、企業経営に深刻な打撃を与えます。また、漏えいしたデータが二次的なサイバー攻撃に悪用されるリスクもあります。対策としては、まずCSPM(Cloud Security Posture Management)ツールの導入が最優先です。Check Point CloudGuard、FortiCNAPP等のCSPMソリューションは、クラウド環境の設定を継続的にスキャンし、ベストプラクティスからの逸脱や危険な設定を自動検出・アラート通知します。Infrastructure as Code(IaC)を活用し、Terraformやクラウドフォーメーションテンプレートにセキュリティ設定を組み込むことで、手動設定ミスを防ぐことも有効です。また、最小権限の原則に基づくIAM設計、ネットワークセグメンテーションによる露出面の最小化、全てのデータの暗号化(保存時・転送時)、包括的なログ記録とSIEMへの統合が重要です。さらに、定期的なクラウドセキュリティ診断と設定レビュー、運用担当者へのクラウドセキュリティ教育、インシデント対応計画の策定も欠かせません。

まとめ

クラウド環境のセキュリティは「設定次第」です。高度な攻撃技術ではなく、シンプルな設定ミスが最大のリスク要因となっている現実を直視する必要があります。人的ミスを前提とした自動化・可視化・継続的監視の仕組みづくりが不可欠です。PSI社では、ネットワーク製品とクラウドセキュリティソリューションを組み合わせ、設定ミスの早期発見から是正、再発防止までを包括的にサポートし、安全なクラウド利用環境の実現をご支援いたします。

会社概要

社名:株式会社ピーエスアイ(PSI)
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿5丁目5-3 建成新宿ビル4階
設立:1994年
TEL:03-3357-9980
FAX:03-5360-4488
URL:https://www.psi.co.jp
事業内容:サイバーセキュリティ製品の販売および導入支援、運用サポート、ITコンサルティング

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広報担当:内藤
電話番号:(03)3357-9980
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