PSI CyberSecurity Insight
2025年12月22日
株式会社ピーエスアイ
APIセキュリティの盲点が情報漏えいの温床に、シャドーAPIとゾンビAPIのリスク
背景
DX推進や業務アプリケーションのクラウド化が加速する中、システム間連携を担うAPI(Application Programming Interface)の利用が日常化していますが、管理されていない「シャドーAPI」や放置された「ゾンビAPI」が、見えない経路からの情報漏えいリスクとして深刻化しています。APIは現代のデジタルビジネスの根幹を支える技術ですが、その急速な普及に伴い、セキュリティ管理が追いついていない企業が多く存在します。開発現場での認証情報のうっかり公開や、テスト環境のAPI放置、ドキュメント化されていないエンドポイントの存在など、組織が把握していないAPIが攻撃者に悪用される事例が継続的に報告されています。
実態
APIセキュリティの問題は、開発スピード優先の現場でテスト用APIやドキュメント未整備のエンドポイントが資産棚卸しから漏れ、WAF(Web Application Firewall)の監視対象外となる「シャドーAPI」や、過去のバージョンが削除されずに残存する「ゾンビAPI」が攻撃者に狙われることから始まります。攻撃者は自動化ツールによる脆弱性スキャンを実施し、認証漏れ、過剰なデータ露出、不適切なレート制限などの弱点を突いて攻撃を仕掛けます。特にREST APIやGraphQL APIでは、適切な認可制御が実装されていない場合、本来アクセスできないはずの他ユーザーのデータや機密情報が一瞬で流出する事例も発生しています。加えて、GitHubなどの公開リポジトリにAPIキーや秘密鍵、データベース接続情報をうっかり公開してしまい、攻撃者に即座に悪用される事故も後を絶ちません。攻撃者は自動化ボットで常時これらの情報を監視しており、公開から数分以内に悪用が開始されるケースもあります。また、API仕様の不備により、大量のデータを一度に取得できてしまう「過剰なデータ露出」や、リクエスト回数の制限がないことで総当たり攻撃が可能になる「レート制限の欠如」なども重大な脆弱性として指摘されています。
影響と対策
API経由の情報漏えいは、顧客の個人情報や取引データ、企業の機密情報など、全社規模のデータ流出につながり、法的責任や信用失墜といった深刻な影響をもたらします。対策としては、まず組織内に存在するすべてのAPIの棚卸しとカタログ化(APIディスカバリー)を徹底することが最優先です。その上で、FortiWebやCheck Point CloudGuard AppSec等のWAAP(Web Application and API Protection)ソリューションを導入し、APIスキーマ検証、レート制限、異常検知、認証・認可の強制を実施することが重要です。開発現場では、シークレットスキャナの導入や専用のシークレット管理ツールによる認証情報の厳格な管理が必須です。また、OWASP API Security Top 10などのガイドラインに基づいたセキュアコーディングの徹底、定期的なAPIセキュリティ診断とペネトレーションテスト、開発者向けのセキュリティ教育も欠かせません。さらに、API利用状況の継続的な監視とログ分析により、異常なアクセスパターンを早期に検知する体制の構築も推奨されます。
まとめ
APIは現代のデジタルビジネスにおいて不可欠な技術ですが、その利便性の裏には見えないセキュリティリスクが潜んでいます。シャドーAPIやゾンビAPIは、組織が認識していない攻撃経路として悪用され、重大な情報漏えいにつながる可能性があります。可視化、自動防御、継続的な監視の三位一体で、APIセキュリティを強化することが急務です。PSI社では、ネットワーク製品を通じて、現代の複雑なAPI環境における情報漏えいリスクに対する総合的なソリューションを提供いたします。
会社概要
社名:株式会社ピーエスアイ(PSI)
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿5丁目5-3 建成新宿ビル4階
設立:1994年
TEL:03-3357-9980
FAX:03-5360-4488
URL:https://www.psi.co.jp
事業内容:サイバーセキュリティ製品の販売および導入支援、運用サポート、ITコンサルティング
報道関係者様からのお問合せ先
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広報担当:内藤
電話番号:(03)3357-9980
Eメールアドレス:psi-press@psi.co.jp